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身寄りのない人の葬儀費用は誰が負担する?孤独死後の流れと火葬の仕組みを解説

近年、一人暮らしの高齢者が増加し、自分が亡くなった後のことや、身近に頼れる親族がいない方の葬儀について不安を感じる方が増えています。身寄りのない人が亡くなった場合、その葬儀費用を誰が支払い、どのような手順で供養が行われるのかという疑問は、避けては通れない切実な問題です。

もしもの時に備えて、法律上のルールや自治体の対応、そして生前にできる準備について正しく理解しておくことは、自分らしい最期を迎えるための第一歩となります。この記事では、身寄りのない人の葬儀費用に関する仕組みを詳しく解説し、将来の不安を解消するための具体的な解決策をご提案します。

目次

身寄りのない人の葬儀費用を誰が払うか決定する仕組みと法律上のルール

身寄りのない方が亡くなった際、葬儀費用を誰が負担するかについては、法律によって一定のルールが定められています。基本的には亡くなった本人の財産から支払われますが、それが不可能な場合の対応についても詳しく見ていきましょう。

遺体を引き取る義務がある人と費用の負担関係

身寄りのない人が亡くなった場合、まずは親族がいないかどうかの調査が行われます。法律や実務上の優先順位は以下の通りです。

  • 同居の親族や法定相続人による支払い
  • 本人の遺産(預貯金や現金)からの捻出
  • 自治体(市区町村長)による公費負担

同居の親族や法定相続人による支払い

亡くなった方に配偶者や子供、兄弟姉妹などの法定相続人がいる場合は、その方々が遺体を引き取り、葬儀費用を負担するのが一般的です。たとえ長年疎遠であったとしても、警察や自治体は戸籍を辿って親族を捜索し、引き取りの打診を行います。親族が引き取りに同意した場合は、その親族が施主となり、葬儀費用を支払うことになります。

本人の遺産(預貯金や現金)からの捻出

引き取る親族がいない、あるいは全員が引き取りを拒否した場合には、亡くなった本人が遺した現金や預貯金が葬儀費用に充てられます。民法改正により、相続人がいない場合や確定前であっても、一定の範囲内で預貯金の払い戻しが受けられる制度(預貯金の仮払い制度)があり、これを利用して火葬費用などを捻出することが可能です。

自治体(市区町村長)による公費負担

身寄りが全くおらず、遺産も残されていない場合には、墓地、埋葬等に関する法律(埋葬法)に基づき、亡くなった場所の市区町村長が火葬や埋葬を行う義務を負います。この場合の費用は一時的に自治体が立て替えます。その後、本人の遺留金品があればそこから回収し、不足分は国庫や自治体の予算で賄われることになります。

身寄りのない人の葬儀費用負担を左右する法的根拠

身寄りのない方の葬儀や火葬は、以下の表にある法律や制度に基づいて運用されています。

法律・制度名内容の概要費用の取り扱い
墓地、埋葬等に関する法律(第9条)死体の引取者がいないとき、市区町村長が埋葬または火葬を行う。自治体が一時負担し、遺留金品から充当。
行旅病人及行旅死亡人取扱法身元不明者や引き取り手のない死者の取り扱いを定めた法律。自治体が費用を負担し、公告を行う。
生活保護法(葬祭扶助)生活保護受給者が亡くなり、遺族が困窮している場合に支給される。自治体から葬儀社へ直接支払われる。

身寄りがいないからといって、誰にも見取られず放置されることは法律上ありません。自治体が必ず火葬を行ってくれますが、それはあくまで最低限の処置(直葬)となります。もし自分の望む形での供養を希望されるのであれば、生前に信頼できる相談先を見つけておくことが、周囲に迷惑をかけないための最善の策と言えるでしょう。

身寄りのない人が孤独死した後の葬儀の流れと自治体による火葬の対応

もし身寄りのない人が自宅などで亡くなっているのが発見された場合、一般的なお葬式とは異なる特殊な手順で物事が進んでいきます。

警察への通報から火葬が行われるまでの具体的な手順

孤独死などの場合、まずは警察による捜査から始まります。その後の流れを整理すると以下のようになります。

  1. 警察による検視と身元確認
  2. 自治体による引き取り手の捜索
  3. 行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づく火葬

警察による検視と身元確認

発見者が警察に通報した後、事件性の有無を確認するために検視が行われます。この際、警察は所持品や近隣住民への聞き込みから身元を特定します。身元が判明した後は、戸籍を調べて親族に連絡を取り、遺体を引き取る意思があるかを確認します。

自治体による引き取り手の捜索

親族が見つからない、または判明した親族全員から遺体の引き取りを拒否された場合、警察から役所(自治体)へ案件が引き継がれます。自治体は改めて広範囲に親族がいないか調査を行いますが、最終的に引き取り手が現れないと確定した時点で、自治体が埋葬責任者となります。

行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づく火葬

引き取り手がいないことが確定すると、自治体は葬儀社に依頼し、火葬のみを行う「直葬(ちょくそう)」を執り行います。お通夜や告別式などは行われず、火葬場での読経もないケースがほとんどです。遺骨は一定期間自治体で保管された後、無縁塚などの合祀墓に納骨されます。

自治体が行う直葬と一般的な葬儀の主な違い

身寄りのない場合に自治体主導で行われる火葬は、一般的な葬儀とは内容が大きく異なります。

項目自治体による火葬一般的な葬儀(家族葬など)
儀式の有無原則なし(火葬のみ)お通夜・告別式を行う
参列者なし(職員のみの場合が多い)親族・友人・知人
安置場所警察指定の安置所や火葬場自宅や葬儀社の霊安室
戒名・読経なし僧侶による読経や戒名授与あり
納骨先自治体の合祀墓(無縁墓)家のお墓や指定の納骨堂

自治体による火葬は、公衆衛生上の観点から行われる処置という側面が強く、宗教的な供養とは言い難いのが実情です。せめてお経をあげてほしい、特定の寺院に納骨してほしいといった希望がある場合は、生前のうちに契約を結んでおくことで、自治体の機械的な処理を避けることができます。

身寄りのない人の葬儀費用を捻出する方法と相続財産を充てる手続き

葬儀にはまとまった費用がかかりますが、亡くなった本人に財産がある場合、それを活用して支払うことができます。

本人の遺産や預貯金から葬儀費用を支払うための条件

通常、銀行口座は名義人の死亡を知った時点で凍結されますが、葬儀費用については例外的な措置があります。

  • 預貯金の仮払い制度の活用
  • 家庭裁判所による相続財産清算人の選任

預貯金の仮払い制度の活用

2019年の民法改正により、相続人がいない場合でも、葬儀費用の支払いのために亡くなった方の預貯金を一定額まで引き出すことができる制度が整いました。ただし、身寄りのない方の場合は「誰が申請するか」が問題となります。死後事務委任契約を結んだ受任者や、自治体の担当者が法的手続きを経て引き出す形となります。

家庭裁判所による相続財産清算人の選任

本人の遺産が多額にあるものの、引き継ぐ相続人がいない場合は、家庭裁判所に申し立てて相続財産清算人を選任してもらいます。この清算人が本人の財産を管理し、未払いの医療費や葬儀費用を清算します。最終的に残った財産は国庫に帰属することになります。

葬祭費給付制度や埋葬料を利用できるケース

亡くなった方が公的医療保険に加入していた場合、一定の給付金を受け取ることができます。

  • 国民健康保険の葬祭費
  • 社会保険の埋葬料

国民健康保険の葬祭費

国民健康保険や後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなった場合、葬儀を行った人(施主)に対して3万円〜7万円程度の葬祭費が支給されます。身寄りのない方で自治体が火葬を行った場合、この給付金が火葬費用の一部に充てられることが一般的です。

社会保険の埋葬料

お勤めをされていた方や、会社の健康保険に加入していた方が亡くなった場合、5万円の埋葬料が支給されます。身寄りがなく、友人などが自費で葬儀を行った場合には、その実費の範囲内で埋葬費が支給される仕組みもあります。

本人の財産が少ない場合でも、こうした公的な給付金制度を組み合わせることで、最低限の火葬費用は賄えるようになっています。しかし、手続きには死亡診断書や火葬許可証が必要になるため、これらを管理できる第三者をあらかじめ決めておくと、非常にスムーズです。

身寄りのない人が生前に準備しておくべき葬儀費用の対策と死後事務委任契約

「誰にも迷惑をかけたくない」「希望の場所に納骨してほしい」と考えるなら、元気なうちに死後の事務を第三者に託す契約を結んでおくのが最も確実な方法です。

自分の死後を第三者に託す死後事務委任契約のメリット

死後事務委任契約とは、亡くなった後の諸手続き(葬儀、納骨、家財整理、支払いの清算など)を、司法書士や行政書士、専門の団体などに委任しておく契約です。

  • 葬儀の内容や費用を自分で決められる
  • 納骨先や遺品整理の指示が出せる
  • 親族以外の人でも手続きを代行できる

葬儀の内容や費用を自分で決められる

この契約を結んでおけば、自治体による機械的な火葬ではなく、自分の好きな葬儀社やプランで最期を飾ることができます。費用についても、預託金として事前に預けておくか、遺産から支払うようにあらかじめ取り決めておくことが可能です。

納骨先や遺品整理の指示が出せる

「先祖代々のお墓に入りたい」「樹木葬にしてほしい」といった要望を契約書に盛り込むことができます。また、賃貸住宅の解約手続きや家財の処分についても、専門家が責任を持って代行してくれるため、大家さんや近隣に迷惑をかける心配がなくなります。

親族以外の人でも手続きを代行できる

通常、病院での遺体引き取りや役所への死亡届は親族が優先されますが、死後事務委任契約があれば、血縁のない第三者でも正当な権限を持ってこれらの手続きを代行できます。これにより、身寄りがない方でも尊厳を守られた最期を迎えることができます。

生前契約と併せて検討したい金銭的な準備

死後事務委任契約を実効性のあるものにするためには、裏付けとなる資金の確保が不可欠です。

  1. 預託金制度の利用
  2. 信託銀行の活用
  3. 葬儀費用に特化した保険への加入

預託金制度の利用

契約を結ぶ専門機関やNPO法人に、あらかじめ葬儀費用相当額を預けておく仕組みです。万が一の際、契約先がその資金を使って全ての支払いを済ませてくれます。

信託銀行の活用

「遺言信託」などのサービスを利用し、葬儀費用分を別枠で確保しておく方法です。銀行が管理するため安全性が高く、確実な支払いが期待できます。

葬儀費用に特化した保険への加入

少額短期保険などの「葬儀保険」に加入し、受取人を死後事務の委任先に指定しておく方法です。まとまった現金がすぐに用意できない場合でも、月々の掛け金で備えることができます。

死後事務委任契約は、身寄りのない方にとって最強の安心材料となります。ただし、契約先をどこにするか、費用をどう捻出するかなど、決めるべきことは多岐にわたります。まずは専門家と一緒に、自分の希望を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

身寄りのない人の葬儀費用に関するよくある質問

身寄りのない方の葬儀や費用について、よく寄せられる質問をまとめました。

友人が亡くなった場合、私が勝手に葬儀をしてもいいですか?

基本的には親族の同意が必要です。親族がいないことが確認できれば、友人として「知人」の立場で遺体を引き取ることは可能ですが、葬儀費用は自己負担になる可能性が高くなります。本人の遺産を使いたい場合は、法的な手続きが必要になるため注意が必要です。

疎遠な親戚の葬儀費用を請求されたら拒否できますか?

拒否することは可能です。遺体の引き取りは義務ではなく、拒否すれば自治体が火葬を行います。ただし、遺産の相続を希望する場合は、葬儀費用を含む負債も引き継ぐことになるのが一般的です。

生活保護受給者が亡くなった場合の葬儀はどうなりますか?

生活保護法に基づく「葬祭扶助制度」が適用されます。自治体から葬儀社に直接費用が支払われ、火葬(直葬)が行われます。自己負担はゼロになりますが、内容は最低限のものに限定されます。

お墓がない場合、遺骨はどうなりますか?

自治体が火葬を行った場合、一定期間(数年間など)は保管されますが、その後は地域の共同墓地や無縁塚に合祀されます。一度合祀されると、後から遺骨を取り出すことはできません。

「親戚に迷惑をかけたくない」という思いから、引き取りを拒否してほしいと考える方もいらっしゃいますが、それはそれで親戚の方に精神的な負担をかけることもあります。生前にきちんと準備をして、誰が何をすべきかを明確にしておくことが、一番の思いやりと言えるでしょう。

まとめ

身寄りのない方の葬儀費用は、原則として本人の遺産から支払われますが、身寄りも財産もない場合は自治体が法律に基づいて火葬を行います。

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