墓じまいとは何から始める?手続きの流れと費用の目安がわかる基礎知識

お墓の継承者がいない、あるいは遠方でお墓参りに行けないといった理由から、墓じまいを検討する方が増えています。しかし、実際に何から始めればよいのか、どれくらいの費用がかかるのか、親族やお寺とトラブルにならないかなど、不安を抱える方も少なくありません。
この記事では、墓じまいの本来の意味から、具体的な手順、費用の目安、そしてよくあるトラブルとその対策までを詳しく解説します。
墓じまいの本来の意味
墓じまいとは、現在納骨されているお墓から遺骨を取り出し、墓石を解体して更地にした上で、墓地の管理者に区画を返還することです。
単にお墓を処分して終わりではなく、取り出した遺骨を別の場所に移して供養し直す「改葬」という手続きを伴うのが一般的です。お墓をそのまま放置してしまうと無縁仏となってしまうため、将来を見据えて適切に片付けることが墓じまいの目的となります。
墓じまいが増加している理由
墓じまいを検討する人が増えている背景には、少子高齢化や核家族化といった社会構造の変化があります。
お墓について心配なこととして、子どもに負担をかけたくないという理由が42%と最も高く、次いで将来の管理への不安が36%、お墓の継承者がいないという理由が22%を占める傾向があります 。
お墓を守る人がいなくなることへの不安や、遠方に住む子どもに維持管理の負担を負わせたくないという思いが、墓じまいという選択を後押ししています。
お墓のことはご自身だけで抱え込まず、まずはご家族で話し合うことが大切です。負担をかけたくないという親心は、きちんと言葉にして伝えることで安心に変わります。
墓じまいとは異なる新しい供養の選択肢
| 供養の方法 | 特徴 |
|---|---|
| 永代供養墓 | 寺院や霊園が家族に代わって遺骨の管理と供養を行う |
| 自然葬 | 樹木葬や海洋散骨など自然に還ることを目的とする |
| 手元供養 | 遺骨の一部を自宅に保管し身近で供養する |
永代供養墓への改葬
墓じまいをした後の遺骨の行き先として選ばれることが多いのが永代供養墓です。
永代供養墓は、寺院や霊園が家族に代わって永きにわたり遺骨の管理と供養を行ってくれるお墓です。継承者がいなくても無縁仏になる心配がなく、将来の管理に対する不安を解消できるため、希望する方が増えています。
他の人の遺骨と一緒に埋葬される合祀タイプや、一定期間は個別で安置されるタイプなど、いくつかの種類があります。
樹木葬や海洋散骨などの自然葬
近年注目を集めているのが、墓石を建てずに自然に還ることを目的とした自然葬です。樹木を墓標とする樹木葬や、遺骨をパウダー状にして海に撒く海洋散骨などがあります。
これらは自然志向の方に好まれるだけでなく、墓石の維持管理費がかからないという利点もあります。望むお墓の形として自然葬を選択する人が増えてきており、新しい供養の形として定着しつつあります 。
新しい納骨先を選ぶ際は、ご自身が足を運びやすい場所かどうかも重要な基準です。費用面だけでなく、心静かにお参りできる環境を探してみてください。
墓じまいとはどれくらいの費用がかかるかの相場
| 費用の内訳 | 相場の目安 |
|---|---|
| 墓石の撤去処分費 | 1平方メートルあたり約10万円程度 |
| 離壇料やお布施 | 数万円から数十万円程度 |
| 行政手続き費用 | 数千円程度 |
墓石の撤去と処分費用
墓じまいで最も大きな出費となるのが、墓石の解体と撤去、そして区画を更地に戻すための工事費用です。
この費用は墓地の広さや立地条件、墓石の量によって大きく変動します。重機が入りにくい場所や山間部にあるお墓の場合は、手作業での解体運搬が必要になるため、費用が割高になる傾向があります。
複数の石材店から見積もりを取り、内訳をしっかり確認することが重要です。
離壇料や事務手続きの費用
寺院墓地にお墓がある場合、墓じまいをして檀家をやめる際に「離壇料」をお渡しする習慣がある地域や寺院もあります。
これはこれまでお世話になったことへの感謝の気持ちとして包むもので、明確な規定はありませんが、一般的な法要のお布施の数回分程度が目安とされることが多いです。
また、閉眼供養と呼ばれるお墓の魂抜きの儀式に対するお布施や、行政窓口での改葬許可証発行にかかる事務手数料なども必要になります。
新しい納骨先の費用
取り出した遺骨を別の場所に移すための費用も考慮しなければなりません。永代供養墓や樹木葬など、どのような供養方法を選ぶかによって費用は大きく異なります。
合祀タイプの永代供養墓であれば数万円から十数万円程度に抑えられることもありますが、新しい場所で個別の区画を購入し墓石を建てる場合は、百万円単位の費用がかかることもあります。
総額の予算を立てる際は、墓じまいそのものの費用だけでなく、新しい納骨先にかかる費用も合算して検討する必要があります。
費用に関する不安は、事前に複数の見積もりを取ることでかなり軽減されます。見積書の内容で不明な点があれば、納得いくまで質問することが失敗を防ぐ秘訣です。
墓じまいとはどのような手順で進めるかの全体像
| 手順の順序 | 実行する内容 |
|---|---|
| 1. 事前相談 | 親族と話し合い寺院へ墓じまいの意向を伝える |
| 2. 新しい納骨先の決定 | 遺骨の移転先となる墓地や供養方法を確保する |
| 3. 行政手続き | 役所で改葬許可証を申請し交付を受ける |
| 4. 墓石の撤去と遺骨移動 | 閉眼供養を行い遺骨を取り出し更地にする |
親族や寺院への事前相談
墓じまいを進める上で最も重要なのが、関係者への丁寧な事前説明です。
まずは親族間で墓じまいの理由や新しい納骨先について話し合い、全員の同意を得る必要があります。
親族間の合意が得られたら、現在の墓地管理者である寺院や霊園に墓じまいの意向を伝えます。
特に寺院の場合は、長年のお付き合いに対する感謝を伝え、一方的な通告にならないよう配慮することが円滑な手続きの鍵となります。
行政での改葬許可申請
遺骨を別のお墓へ移動させるには、法律に基づいた行政手続きが必要です。
現在お墓がある市区町村の役所で「改葬許可申請書」を入手し、現在の墓地管理者の署名捺印をもらいます。さらに新しい納骨先の「受入証明書」などを用意し、役所に提出して「改葬許可証」の交付を受けます。
この改葬許可証がないと、新しい場所へ遺骨を納めることができません。
遺骨の取り出しと墓石の撤去
行政手続きが完了し、石材店との契約が済んだら、実際のお墓の解体工事に入ります。
工事の前には僧侶を招いてお墓の魂を抜く「閉眼供養」という儀式を行うのが一般的です。その後、石材店によって遺骨が取り出され、墓石が解体・撤去されて更地に戻されます。
取り出された遺骨は新しい納骨先へと運ばれ、改葬許可証を提出して納骨が行われます。
長年安置されていた遺骨は汚れたり濡れたりしていることがあるため、新しい納骨先に移す前に遺骨の洗浄や乾燥が必要になる場合もあります。
役所の手続きは複雑に感じられますが、一つずつ順番に進めれば大丈夫です。分からないことがあれば、役所の窓口で事情を説明すると丁寧に教えてもらえますよ。
墓じまいとは避けて通れないよくあるトラブルと対策
親族間での意見の相違
墓じまいで最も多いのが、親族間の意見の食い違いによるトラブルです。
先祖代々のお墓をなくすことに対して強い抵抗感を持つ人は少なくありません。
事後報告は絶対に行わず、なぜ墓じまいが必要なのか、将来の継承問題や維持費の負担など、現状の課題を丁寧に説明し、時間をかけて理解を求めることが重要です。
新しい納骨先のプランも併せて提示し、供養をおろそかにするわけではないことを伝えると納得を得やすくなります。
寺院からの高額な離壇料請求
お寺の檀家をやめる際、相場を大きく超えるような高額な離壇料を請求されるケースが稀にあります。
このようなトラブルの多くは、事前の相談なく突然「墓じまいをします」と事務的に通告してしまった場合に起きやすい傾向があります。
まずは長年の供養への感謝を伝え、お墓を守っていくのが身体的・経済的に困難になった事情を誠実に説明し、住職の理解を得ることが最善の対策です。
指定石材店との費用トラブル
民間の霊園や寺院墓地では、お墓の工事を行う石材店が決められている「指定石材店制度」が設けられていることが多くあります。
この場合、自分で安価な石材店を探して依頼することができず、提示された見積もり額で工事をせざるを得ないため、想定より費用が高額になって驚くケースがあります。
私たちが実際に受けた相談事例でも、石材店の指定により費用負担で悩まれる方は多くいらっしゃいます。
墓じまいを検討し始めた段階で、墓地管理者に指定石材店の有無と、おおよその解体費用の目安を確認しておくことが大切です。
トラブルの多くはコミュニケーション不足から生じます。お寺やご親族には「相談」という姿勢で接することで、ほとんどの問題は穏やかに解決に向かいます。
墓じまいの不安を解消するための事前準備
墓じまいをスムーズに進めるためには、事前の準備が欠かせません。
まずはお墓の現在の名義人が誰になっているかを確認し、親族の中で誰に相談すべきかをリストアップします。そして、現在の墓地の規約を確認し、指定石材店の有無や離壇に関する決まりを把握しておきましょう。
また、墓じまいに関する行政手続きや親族・寺院との交渉は、ご自身だけで抱え込むと精神的な負担が大きくなることもあります。
そのような場合は、終活の専門家に相談することで、現状に合ったアドバイスをもらい、第三者の視点から冷静に手順を整理することができます。
専門知識を持つ第三者が介入することで、親族間や寺院との話し合いが円滑に進むことも少なくありません。
ご自身やご家族の将来を考え、お墓の継承や墓じまいについて少しでも不安や疑問をお持ちでしたら、行政書士法人グループ運営のニコニコ終活の無料相談をぜひご活用ください。
ご家庭ごとのご事情に寄り添い、専門家が丁寧にアドバイスや情報提供を行い、後悔のない選択をサポートいたします。