葬儀保険はいらないと言われる理由と失敗しないための判断基準

将来の葬儀費用に不安を感じて備え方を調べていると、葬儀保険という選択肢を目にすることがあります。
一方で、周囲から「加入しなくてもよい」という意見を聞き、本当に必要なのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、葬儀保険の仕組みや注意点を解説し、ご自身の状況に合った後悔しない備え方の基準をお伝えします。
葬儀保険がいらないと言われる理由と注意点
| 注意点 | 具体的なリスク |
|---|---|
| 掛け捨て型であること | 解約してもお金が戻らず、長期間の加入で元本割れを起こす可能性がある |
| 更新時の保険料上昇 | 年齢が上がるごとに毎月の支払額が高くなり、維持が困難になることがある |
| 年齢制限の存在 | 100歳を超えると更新できず、保障がなくなるケースがある |
| 倒産時の保護の不在 | 保険業者が倒産した場合、契約者が保護されないリスクがある |
葬儀保険が推奨されないことが多い背景には、その特有の仕組みに起因するいくつかのリスクが存在します。
掛け捨て型特有の元本割れリスク
世の中で提供されている葬儀保険の多くは、満期が1年間に設定された掛け捨て型の保険です 。
掛け捨てであるため、途中で不要になったからといって解約しても、これまでに支払ったお金は一切戻ってきません 。
また、長生きをして長期間にわたり保険料を支払い続けた結果、支払った保険料の総額が、最終的に受け取れる保険金の額を上回ってしまう元本割れのリスクが常に存在します 。
私たちが実際に受けたご相談の中にも、60代から葬儀保険に加入し、これまでに200万円ほどの保険料を支払ってきたものの、保障される保険金は100万円にしかならないという90代の方の深刻なケースがありました 。
高齢時の更新による保険料の高騰
葬儀保険は1年ごとの更新制となっており、更新時の年齢に応じて保険料が再計算されます 。
そのため、最初は手頃な保険料で始められたとしても、年齢を重ねるごとに毎月の負担額がどんどん高額になっていきます 。
年金暮らしの中で高騰する保険料を支払い続けることが難しくなり、途中で継続を断念せざるを得なくなる事態も少なくありません。
さらに深刻な問題として、多くの葬儀保険では100歳を過ぎると契約の更新ができなくなります 。
100歳を超えた時点でこれまでに支払った保険料は返還されず、将来のための保険金も支払われないという状態に陥るリスクがあります 。
保険会社倒産時の保護制度の不在
一般的な生命保険会社が破綻した場合には、契約者保護機構という制度によって一定の契約者保護が図られます。
しかし、葬儀保険を取り扱う業者の多くは少額短期保険業者であり、この契約者保護機構の対象外となっています。
万が一、契約している葬儀保険業者が倒産してしまった場合、契約者が保護されず、将来の葬儀費用のための備えが白紙になってしまうリスクを含んでいます 。
葬儀保険は手軽に始められる反面、長生きするほど金銭的な負担とリスクが増す仕組みです。ご自身の健康状態や将来の収支を見据えた慎重な判断が必要です。
葬儀保険がいらない人と適している人の特徴
すべての人にとって葬儀保険が不要というわけではありません。ご自身の年齢や経済状況によって、適切な判断は異なります。
葬儀保険への加入が不要な人の条件
お手元に葬儀費用を賄えるだけの十分な預貯金がある方は、あえてリスクを負って葬儀保険に加入する必要はありません。
また、すでに冠婚葬祭互助会などで葬儀のための積立を行っている方や、葬儀信託を利用して費用を保全している方も、二重に備える必要はないと言えます。
比較的年齢が若く健康な方の場合、長期間加入することによる元本割れのリスクが高まるため、預貯金など他の手段での準備をお勧めします。
葬儀保険への加入を検討すべき人の条件
一方で、葬儀保険には高齢であったり過去に病気を患った経験があったりしても加入しやすいという利点があります 。
80歳以上の方や既往歴がある方でも、月額数千円程度から保障を持てる場合があります 。
現在お手元にまとまった資金がなく、「万が一の際に確実にご家族へ葬儀費用を残してあげたい」と強く希望される方にとっては、すぐに保険金が支払われる仕組みは精神的な安心材料になり得ます 。
保険に加入する前に、まずはどのような葬儀を希望し、いくら必要なのかを具体的に見積もることが大切です。必要以上の保障をつけて毎月の負担を重くしないようご注意ください。
葬儀保険がいらない場合の代わりの備え方
| 備え方の種類 | メリット | デメリットや注意点 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 手持ちの口座で手軽に管理できる | 死後の口座凍結により、ご家族が一時的に立て替える必要がある |
| 互助会積立 | 少額から計画的に準備でき、会員価格が適用される場合がある | 解約時に手数料がかかり、倒産時は積立金の半分しか保護されない |
| 葬儀信託 | 口座凍結の影響を受けず、確実に指定した葬儀費用に充てられる | 契約時にまとまった資金を信託口座に預け入れる必要がある |
葬儀保険を利用しない場合でも、ご家族に負担をかけないための備え方は複数存在します。それぞれの特性を理解し、状況に合った方法を選ぶことが重要です。
預貯金による手軽な準備
ご自身の銀行口座に葬儀のための資金を取り分けておく方法は、最も手軽で多くの方が実践している備え方です 。特別な契約や手数料も不要です。
ただし、口座名義人が亡くなったことが金融機関に伝わると、その口座は凍結されてしまいます 。口座の凍結が解除され、遺産分割協議を経て相続手続きが完了するまでには平均して3ヶ月程度の期間を要します 。
そのため、葬儀社への支払いのタイミングでご家族が費用を一時的に立て替える必要が生じる可能性がある点には注意が必要です 。
互助会の積立は解約トラブルがある
冠婚葬祭互助会は、毎月一定額を積み立てることで、将来の葬儀サービスを前払いする仕組みです 。
貯金が苦手な方でも計画的に準備ができ、会員価格での割引を受けられるなどの恩恵があります 。
一方で、積立を途中でやめる場合には10%から30%程度の解約手数料が発生します 。
また、万が一互助会が倒産した場合には、保全措置の規定により積立金の半分しか戻ってこない可能性があるというリスクも把握しておく必要があります 。
葬儀信託による確実な費用保全
葬儀信託は、生前に葬儀社と内容を決定したうえで、必要な費用を信託銀行などの専用口座に預けておく制度です 。
この方法の最大の強みは、お亡くなりになった際の口座凍結の影響を受けないことです 。
遠方にお住まいのご家族や、身寄りのないおひとり様であっても、資金面で周囲に迷惑をかけることなくスムーズに葬儀を執り行うことができます 。
ただし、契約の段階で将来の葬儀費用に相当するまとまった資金を一括して用意する必要があるため、手元資金に余裕がある方向けの備え方と言えます 。
ご自身の資産状況やご家族との関係性によって最適な備え方は変わります。どの方法を選ぶにしても、その内容をご家族や信頼できる方に事前に共有しておくことが何よりの安心に繋がります。
葬儀保険がいらないか迷った際の確認手順
漠然とした不安から不必要な契約を結んでしまわないよう、順序立てて状況を整理することが大切です。
1:葬儀費用の相場と内訳の把握
まずは、ご自身が希望する葬儀にいくらくらいかかるのか、現実的な相場を知ることが出発点です。
2020年以降の葬儀費用の平均は、葬儀一式費用が約110万円、飲食接待費が約10万円、お布施が約40万円で、合計約160万円となっています 。
しかし、近年主流となっているご家族や近親者のみで行う家族葬であれば、より費用を抑えることが可能です。地域の相場やご希望の形式に合わせたおおよその必要額を把握しましょう。
2:複数社からの相見積もりをとって目標金額を知る
相場感が掴めたら、ご自宅近くの葬儀社や気になる業者数社から実際に見積もりを取ってみましょう。
葬儀社によって、基本プランに含まれる項目や追加で発生するオプション(式場使用料や安置料など)の規定は大きく異なります 。
見積もりを比較することで、本当に必要な金額が明確になります。
目標金額が定まれば、それに対して手持ちの預貯金で対応できるのか、それとも別の手段で補う必要があるのかが冷静に判断できるようになります。
3:中立な専門家を交えた事前対策の検討
具体的な必要額が見えてきたら、その資金をどのように準備し、保全するのが最も安全で合理的かを検討します。
ご自身だけで判断に迷う場合は、中立的な立場からアドバイスができる専門窓口を活用するのも有効な手段です。
お元気なうちに葬儀の方向性を整理し、費用の目処を立てておくことで、結果的にご家族への精神的・経済的な負担を最小限に抑えることができます。
葬儀の備えは、一度決めたら終わりではありません。生活環境やご家族の状況の変化に合わせて、数年ごとに見直しを行うことで、常に最適な状態を保つことができます。
葬儀に関する事前の備えは、残されるご家族への思いやりそのものです。とはいえ、多くの葬儀社や制度の中からご自身にぴったりの選択をするのは非常に労力がかかります。
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葬儀費用の備え方についてのご相談も承っておりますので、ご不安なことがあれば一人で悩まず、ぜひお気軽にお問い合わせください。