葬儀費用の借入を検討中の方へ。ローンや公的制度で支払いの不安を解消する方法
葬儀は突然訪れるものであり、まとまった現金が手元にない状況で高額な費用を請求されるケースは少なくありません。大切な家族を送り出したいという気持ちがある一方で、現実的な支払いの問題に直面し、夜も眠れないほどの不安を抱えている方も多いはずです。
葬儀費用を金融機関などから借り入れる方法はいくつか存在し、それぞれの特徴や審査の難易度、利息の負担などは大きく異なります。この記事では、葬儀費用の支払いに困った際の具体的な借入手段や、借入以外で負担を減らすための公的制度、失敗しないための注意点を専門家の視点から詳しく解説します。
葬儀費用の借入先|金融機関の種類とそれぞれの特徴
葬儀費用が不足している場合、まず検討されるのが金融機関からの借入です。銀行や信用金庫、ノンバンクなど、借入先によって融資までのスピードや金利条件が大きく異なります。ご自身の現在の収支状況や、いつまでに資金が必要なのかという優先順位に合わせて最適な窓口を選ぶことが重要です。
| 借入先 | 融資スピード | 利息の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 銀行のフリーローン | 数日~1週間程度 | 年4.0%~15.0% | 信頼性が高く、使い道が自由だが審査は厳しめ |
| 銀行のメモリアルローン | 3日~1週間程度 | 年3.0%~7.0% | 葬儀専用のローン。比較的低金利だが使途証明が必要 |
| カードローン | 最短即日 | 年3.0%~18.0% | とにかく早い。利息は高めだが急な支払いに対応可能 |
| 信用金庫・JA | 1週間~2週間程度 | 年2.0%~5.0% | 地域密着型で金利が低い傾向。会員登録が必要な場合も |
金融機関で利用できる主な借入プラン
金融機関で葬儀費用を借りる場合、大きく分けて3つの選択肢があります。それぞれのメリットとデメリットを把握し、状況に合ったものを選びましょう。
- 銀行が提供する目的別ローン(メモリアルローン)
- 使い道が限定されないフリーローン
- 利便性とスピードを重視したカードローン
銀行が提供する目的別ローン(メモリアルローン)
メモリアルローンとは、葬儀費用や墓石の購入費用など、供養に関連する支出に限定して融資を行う商品です。住宅ローンやマイカーローンのように使い道が決まっているため、後述するフリーローンやカードローンに比べて金利が低く設定されているのが最大の特徴です。ただし、利用するためには葬儀社からの見積書や請求書の提出が必須となります。また、審査には一定の時間を要するため、葬儀が終わった後の支払い期限までに間に合うかどうかを事前に確認しておく必要があります。
使い道が限定されないフリーローン
フリーローンは、借入金の使い道が制限されないタイプの融資です。葬儀本体の費用だけでなく、遠方から親族を呼ぶための交通費や宿泊費、香典返しの費用、四十九日法要の準備金など、葬儀に付随するあらゆる支出に充てることができます。メモリアルローンよりも手続きが簡略化されている場合が多いですが、その分金利はやや高めに設定される傾向にあります。一度にまとめて借り入れ、その後は返済のみを行っていく契約形態が一般的です。
利便性とスピードを重視したカードローン
カードローンは、審査から融資までのスピードが非常に速いのがメリットです。消費者金融系であれば最短即日、銀行系でも翌営業日には融資を受けられるケースがあります。葬儀は前払いや当日の現金支払いが必要になることも多いため、急ぎの場合は非常に助かる手段です。ただし、他のローンと比較して金利が非常に高く設定されており、上限金利が15%〜18%程度になることも珍しくありません。長期間の返済になると負担が重くなるため、あくまで一時的なつなぎ資金として利用し、香典や保険金が入った段階ですぐに一括返済するなどの工夫が求められます。
金融機関からの借入は、まず金利の低いメモリアルローンから検討するのが鉄則です。時間がなく焦ってしまうかもしれませんが、高金利なカードローンに頼る前に、まずはメインバンクに相談してみることをお勧めします。
特徴やメリット|少し違う葬儀社が提携しているローンの仕組み
多くの葬儀社では、独自の提携ローン(葬儀ローン)を用意しています。これは信販会社と提携して提供されるもので、葬儀の打ち合わせの流れでそのまま申し込めるため、精神的に余裕がない時期でも手続きを進めやすいという利点があります。
葬儀社提携のローンを利用する場合の手続きは、一般的な銀行ローンとは少し異なります。その特徴を詳しく見ていきましょう。
- 葬儀の打ち合わせと同時に申し込みが可能
- 柔軟な支払い設定が可能
- 審査がスピーディー
葬儀の打ち合わせと同時に申し込みが可能
葬儀ローンは、葬儀社が窓口となって手続きを行います。そのため、自分で銀行へ足を運んだり、インターネットで一から書類を揃えたりする必要がありません。見積もりの内容に基づいてそのまま申し込めるため、忙しい葬儀準備の中でも手間がかからないのが大きなメリットです。窓口が一本化されることで、費用の総額を把握しながら借入額を調整できるため、計画的な利用が可能です。
柔軟な支払い設定が可能
葬儀ローンは、クレジットカードのリボ払いのように、月々の返済額を一定に抑えることができます。支払回数は6回から、長いものでは60回や84回といった長期分割に対応しているケースもあります。一括で数百万円を支払うのは難しくても、月々1万円〜2万円の返済であれば家計を維持できるという方にとっては、非常に有効な選択肢となります。ただし、回数が多くなればなるほど支払う手数料(利息)の総額が増える点には十分な注意が必要です。
審査がスピーディー
葬儀ローンの審査は、数時間から長くても翌日には完了することがほとんどです。これは、葬儀という緊急性の高いイベントに対応するため、信販会社が迅速な審査体制を整えているからです。銀行のローンで断られてしまった場合でも、信販会社の審査基準であれば通る可能性もあります。ただし、過去にクレジットカードの滞納があったり、現在多額の他社借入があったりする場合は、審査に落ちるリスクもあるため過信は禁物です。
葬儀社提携ローンは利便性が高いですが、金利は銀行よりも高めに設定されていることが多いです。利用する際は、必ず最終的な総支払額がいくらになるのかを確認し、納得した上で申し込むようにしましょう。
借入以外で葬儀費用を工面するために知っておくべき公的制度など
お金を借りることに抵抗がある場合や、ローンの審査に通るか不安な場合は、国や自治体の制度を最大限に活用しましょう。また、故人が遺した資産を活用する方法もあります。借入を最小限に抑えるための知恵を整理しました。
葬儀費用を補填できる公的補助金と受取方法
日本には、亡くなった方の加入していた健康保険から一定額が支給される制度があります。これらは申請しないともらえないため、必ず確認しておきましょう。
- 国民健康保険の葬祭費給付金
- 社会保険の埋葬料・埋葬費
- 生活保護受給者が利用できる葬祭扶助
国民健康保険の葬祭費給付金
故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬儀を行った人(喪主)に対して葬祭費が支給されます。支給額は自治体によって異なりますが、一般的に3万円から7万円程度です。葬儀後2年以内に役所の窓口で申請する必要があります。金額としては葬儀代全体の一部ではありますが、返済不要の貴重な資金となります。
社会保険の埋葬料・埋葬費
故人が会社員などで社会保険(健康保険組合や協会けんぽ)に加入していた場合、一律5万円の埋葬料が支給されます。扶養家族が亡くなった場合でも家族埋葬料として同額が支給されます。もし身寄りのない方の葬儀を友人が行った場合などは、5万円の範囲内で実際にかかった費用が埋葬費として支給される仕組みです。こちらも勤務先や健康保険組合への申請が必要です。
生活保護受給者が利用できる葬祭扶助
故人または喪主が生活保護を受けており、葬儀費用を出すことが全くできない場合に限り、葬祭扶助という制度が適用されます。これは、自治体が最低限の葬儀(火葬のみの直葬など)の費用を直接負担してくれる制度です。ただし、この制度を利用する場合は、僧侶を呼んでの読経や祭壇を飾るなどの一般的なお葬式は行えません。あくまで困窮している方への救済措置であることを理解しておく必要があります。
故人の預貯金を活用する方法
2019年の法改正により、遺産分割協議が終わる前でも故人の預貯金の一部を引き出せる仮払い制度が始まりました。
- 預貯金の払戻し制度(仮払い)の利用
- 生命保険金の早期受け取り手続き
預貯金の払戻し制度(仮払い)の利用
以前は、銀行口座の持ち主が亡くなると口座が凍結され、遺産分割が決まるまで1円も引き出せませんでした。しかし現在は、葬儀費用などの急用であれば、各金融機関の窓口で一定額(上限150万円、かつ法定相続分の3分の1まで)を単独で引き出すことが可能です。これにより、借入をせずに故人の資産で葬儀代を支払える可能性が広がりました。
生命保険金の早期受け取り手続き
故人が生命保険に加入していた場合、保険金は受取人が指定されているため、遺産分割協議を待たずに受け取ることができます。多くの保険会社では、葬儀費用の支払いに間に合うよう、必要書類が揃えば数日中に振り込んでくれるクイック支払いサービスを提供しています。借入を検討する前に、まずは保険証券を確認し、保険会社に連絡を取ってみましょう。
公的な補助金や保険金、預貯金の仮払い制度を組み合わせるだけで、借入額を大幅に減らせるケースが多いです。まずは活用できる資産がないか、落ち着いて整理することから始めてみてください。
葬儀費用の借入を申し込む前に確認すべき注意点と返済計画の立て方
無理な借入は、葬儀後の生活を圧迫する原因になります。感情的になりやすい時期だからこそ、冷静に返済のシミュレーションを行うことが大切です。後悔しないための判断基準をまとめました。
借入を検討する際のチェックリスト
借入を決める前に、以下の項目を一つずつ確認してください。
- 返済の原資は確保できているか
- 利息を含めた総支払額を把握しているか
- 本当にその金額の葬儀が必要か
返済の原資は確保できているか
借入金は必ず返さなければなりません。香典でいくら戻ってくるか、四十九日の法要後に遺品整理をしてどれくらい現金化できるかなど、具体的な返済計画を立てましょう。特に、毎月の給与から返済していく場合は、生活費を削りすぎてしまわないか慎重な判断が求められます。
利息を含めた総支払額を把握しているか
「月々1万円なら大丈夫」という甘い考えは危険です。15%程度の高金利で長期間借り入れると、元本と同程度の利息を支払うことになるケースもあります。契約書に記載されている実質年率を確認し、最終的にいくら支払うのかを計算機で叩いてみる勇気を持ってください。
本当にその金額の葬儀が必要か
借入を検討する理由が、見栄や世間体であるなら一度立ち止まりましょう。最近では、家族葬や直葬(火葬のみ)など、費用を抑えた形でも心のこもった見送りが可能です。無理に借金をして豪華な葬儀を行うことが、故人の本当の願いであるかどうかを自問自答してみてください。費用を抑える相談は、信頼できる葬儀社であれば快く応じてくれるはずです。
借金をしてまで豪華にする必要はありません。今できる精一杯の供養が、形は小さくとも一番の親孝行になります。身の丈に合った葬儀の形を、今一度プロと一緒に考えてみませんか。
葬儀費用の借入に関するよくある質問
- 年金受給者や無職でも葬儀費用を借りることはできますか?
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一般的な銀行ローンは安定した収入が求められるため、年金以外の収入がない場合は審査が厳しくなることがあります。しかし、葬儀社提携のローンであれば、同居している家族を保証人に立てることで審査が通る場合もあります。また、故人の資産状況によっては、借入ではなく預貯金の仮払い制度を優先して利用することをお勧めします。
- 香典で借金をすぐに返済しても大丈夫ですか?
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はい、多くのローンでは繰り上げ返済が可能です。香典が多く集まった場合は、その資金を返済に充てることで、支払う利息の総額を大幅に減らすことができます。ただし、ローン商品によっては繰り上げ返済手数料がかかる場合があるため、契約時に確認しておきましょう。
- 複数の金融機関から借り入れることは可能ですか?
-
理論上は可能ですが、お勧めしません。短期間に複数の借入を申し込むと、信用情報に影響を与え、審査に通らなくなる「申し込みブラック」という状態になる恐れがあります。また、多重債務は返済管理を困難にするため、借入先は一箇所に絞り、足りない分は葬儀費用の見直し(ランクダウン)で対応するのが賢明です。
まとめ
葬儀費用の借入は、突然の不幸で手持ちの資金が不足している場合に、家族を無事に見送るための有効な手段となります。しかし、低金利なメモリアルローンから高金利なカードローンまで種類は多様であり、利息負担や審査スピードを十分に考慮して選択しなければなりません。また、借入を検討する前に、自治体の葬祭費給付金や預貯金の仮払い制度、生命保険金の活用など、手元資金を増やすための努力も欠かせません。
お金の問題で満足な供養ができないと悩む必要はありません。現代には様々な解決策があり、知っているか知らないかで葬儀後の生活は大きく変わります。
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